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2011年8月

2011年8月 9日 (火)

『施餓鬼法要の現代的意義 ⑦』 Dr.Mineの仏教法話

 元気な時は祟りなど気になりません。

しかし自分が病気になった時、自分や身内に不幸が続いた時が問題なのです。世の中には、「その不幸は祟りのせいかもしれない」と耳元でささやく人がいます。

それは、日本人の中に祟りを本気で信じている人が結構いるからです。そういう人にとっては、「祟りかもしれない」ということは何も特別なことではなく、「善意の第三者の一言」なので厄介です。

また危険な宗教が信者獲得のための常套(じょうとう)手段は、先祖の中で成仏していない霊がいるとか、先祖と縁のある霊が成仏できずにいて、その霊が祟りをおこしているとか、一番多いおどしが水子の霊の祟りだといって恐怖心をあおります。

 施餓鬼法要というのは、今回の災害の時のように、充分に供養されずに亡くなった多くの方々のご冥福を心から祈る法要であると同時に、自分や御先祖様が生きていく上でご縁のある、すべての霊や仏に感謝して祈り、御供養する法要です。

その為に大勢の僧侶が集まって、一所懸命施餓鬼供養をしています。もし将来、祟りの不安を感じた時には、この話を思い出していただければ幸いです。(完)

『施餓鬼法要の現代的意義 ⑥』 Dr.Mineの仏教法話

 施餓鬼供養には、もう一つの大事な意義があります。

日本人は千年以上前から、この施餓鬼供養を継続してきました。それは今回のような未曾有(みぞう)の災害や飢饉、戦乱がおこった時のみではなく、平和な時代でも施餓鬼供養を行っていました。平和な時代には平和な時代の意義があるため、伝統行事として永く、現代まで継続されてきました。

 実は日本人は、悪霊(あくりょう)が取りついて祟(たた)りをおこす事に、恐怖を感じる民族です。先ほど申し上げましたように、供養してくれる者のいない無縁の霊や祀る人のいない霊魂を餓鬼といいますが、こういう霊が、迷って悪霊、怨霊となり、祟りをおこすと信じられてきました。

そのため僧侶が、祟りの元となる可能性がある死者を、仏教の法力で弔ってきたのです。だから平和な時代でも毎年、無縁の霊や祀る人のいない霊魂を鎮めるために、施餓鬼供養を行ってきました。

 21世紀において「祟り」などある訳はないと、お笑いになるかもしれません。しかし現代においても、特にバラエティー番組では、除霊師や霊視ができる霊能者と自称する人達が出演して、高視聴率を獲得しています。この祟りに対する恐怖感は、日本民族の遺伝子に組み込まれたともいうべき宗教的弱点なのです。

 最近国学院大学の石井教授らが、平成の時代に育った一般学生対象におこなったアンケートでは、祟りを信じると答えた人がなんと50%以上もいました。霊視できる霊能者は、なんと80%以上の学生がいると思う、と解答しています。また路上などで、『悪い霊が憑いている』といわれて気になると答えた学生は全体で28%、特に女子学生は三分の一が悪霊を気にすると答えています。

中高年になるに従い、この割合は減少するでしょうが、それにしても祟りに対する恐怖感は、平成の時代に生まれ育った子供達の深層心理にもあるということです。

『施餓鬼法要の現代的意義 ⑤』 Dr.Mineの仏教法話

 このたびの東日本大震災では、世界中の人達からご支援をいただきました。アフリカの貧しい国でも、日本の大災害のニュースは伝えられていて、彼らが日頃口にしている豆を送れないかと、日本人のNPO職員に申し入れがあったそうです。

ぎりぎりの生活の中で命をつないできた彼らの貴重な食料である豆を、被災した日本に送りたいと申し入れてくださったそうです。世界中の人達と縁でつながっていることを、自覚せずにはいられません。世界中の人達との縁で、私たちは一人一人が生かされているのです。

 アメリカの遺伝学者、アラン ウィルソンが世界中の人間の遺伝子を追跡した結果によりますと、人類65億人はすべて、15万年前に中央アフリカに生きた、一人の女性に辿り着くのだそうです。つまり、人類65億人は等しく、この「偉大なるお母様」の子孫なのです。

その女性は「ミトコンドリア イブ」と名付けられました。日本人も、イギリス人も、アメリカ人も、中国人も、ロシア人も、黄色人種も、白人も、黒人も、皆が「ミトコンドリア イブ」の子孫です。地球全体の歴史が46億年ですから、わずか15万年まで遡れば、世界中の人々はすべて共通の「おっかさま」に辿り着くのです。世界中の方々とは皆親戚同士なのです。皆同朋です。

 親族や親しい友人が亡くなった時には、葬儀や法事において、心からその冥福を祈ります。同じように、後ろ髪を引かれるように死んでいった無数の同朋達の冥福を祈るのが施餓鬼供養です。

あらゆるご縁、無数のお命のおかげで、今こうやって生きているという有り難さを知り、そのことに感謝して祈ることこそ、仏教という宗教です。

 しかも私たちは、突然この世に出現したわけではありません。ご先祖様から命のバトンを引き継ぎました。そのご先祖様方一人一人も又私たち同様、無数の命によって支えられてきました。ただ、縁のある御先祖様のお名前のすべてを知っている訳ではありません。

だから、例えば私で言えば、私に命のバトンを繋いで下さったすべての御先祖様の代表として、峯崎家先祖代々として供養しているのです。そして同時に、御先祖様を支えてくださった無数のお命に感謝してその冥福を祈り、ご供養するのが施餓鬼の先祖供養です。

『施餓鬼法要の現代的意義 ④』 Dr.Mineの仏教法話

 そして私たちが普段口にしている海産物だって例外ではありません。

一人一人の漁師さんの顔は知りませんが、三陸沖、気仙沼周辺の漁師の方々が海で漁をしてきた魚介類を食べています。そういう漁師の方々もまた、このたびの地震による津波で大勢亡くなっています。

また、今回の地震とは関係ありませんが、北方領土周辺で漁をしている漁師の方々は、ロシアの哨戒艇(しょうかいてい)に拿捕(だほ)されて強制連行された人は1万人近くいて、銃撃されて命を落とした方が30人にも及んでいます。そればかりではありません。

日本では、食料自給率は30%未満です。つまり七割以上は外国から輸入しており、それは魚介類も例外ではありません。世界でも有数の技術立国である日本ですら、時々海難事故が起こるのですから、外国、特に開発途上国であればもっとあるでしょう。外国人の海難事故は報道されませんから実体はわかりませんが、相当数にのぼるはずです。

そういう無数の命によって支えられて、私たちは海産物を手に入れているのです。

 また震災直後には、ガソリン不足で大騒ぎしました。石油ばかりではなく、多くの輸入品は船で運ばれます。世界の海は安全だと思いますか?ソマリア海域のように、自衛隊派遣をしなければならない程危険な海域もあり、海賊多発地帯を運行しなければならない船は、常に命の危険と隣り合わせです。

毎日船が通る運河もまた、多くの人々の犠牲の上に開通しています。たとえばスエズ運河は、15万人以上の犠牲の上に完成しました。パナマ運河も同様で、黄熱病やマラリヤで多くの人が犠牲になりました。日本国内も例外ではありません。物資を運搬する交通路、たとえばトンネルなども、過去においては多くの日本人の犠牲があったのです。

「多くのご縁によって生かされている」という言葉には、なんとなくほのぼのとした感じがありますが、実は重い現実に裏付けされているのです。無数の、犠牲を伴った縁によって、私たちの生活、生命は支えられているのです。

『施餓鬼法要の現代的意義 ③』 Dr.Mineの仏教法話

 私たちは誰でも、一人では生きていくことができません。

多くの方々との縁でつながっていて、その縁に助けられて生きています。その縁は、例えば親子の縁、夫婦の縁、兄弟の縁、師弟関係の縁、友人との縁というのは、自分ではっきりと自覚できる縁です。しかし縁の中には、自覚できない縁が無数にあります。

 食事のことを例にして、一緒に考えてみましょう。まずはお米と野菜。もちろん自分で作っている方もいるでしょうが、多くの人のは、農家の方々が手塩をかけて育てたお米や野菜を、お米屋さん、八百屋さん、スーパーマーケットなどで買います。

このたびの大震災では、津波によって広い地域で田畑が流され、塩水につかってしまいました。しばらくは田畑として耕作できないでしょう。もちろんこの地域の農家の方々の中には津波の被害で亡くなられた方もいます。私たちの食生活は、そういう方々の作った農作物のおかげで、直接的、間接的に支えられ、命をつないできた訳ですから、津波で命を落とされた農家の方々と無縁という訳にはいきません。

 また、お米や野菜を洗うにしても、水が必要です。このたびの大震災で、水の有り難さを痛感しました。安全な水は、ただで手に入る訳ではありません。安全な水を供給してくれる多くの方々の努力によって支えられているのです。これまた、水に関わっている多くの方々と無縁という訳にはいきません。

 お米を炊飯するためには電気が必要です。今回の震災で、電気ほど多くの方々との縁で供給されているものはない、と気づいたはずです。工業立国日本においては、質の高い電気を安定供給する場合、火力発電所のみでは需要に追いつかないという現状があります。我が国では石油がほとんど産出されないので、産油国の思惑に一喜一憂することになりますし、第一化石燃料による発電は、地球温暖化の問題も無視できません。

膨大な電気消費量をまかなう為には、火力発電所の何倍も効率よく電気を生み出す原子力発電所は、どうしても必要なのでしょう。ただ、原子力発電は二酸化炭素を排出しませんが、大量の核廃棄物が残りますし、ひとたび発電所に事故が起きれば大変な被害がでます。

そのことを、今回の地震に伴う福島原発事故で改めて気づきました。しかも首都圏で消費される三分の一は、福島県で作られています。

だからこそ、このたびの災害で福島原発がダウンすれば、否応なく、電気が不足する事態となり、計画停電が必要になりました。

そしてこのたびの震災では、福島原発関係者もまた犠牲になりました。福島原発を完全に制圧するためには、悲しいことですが、今後、被爆等により犠牲者が出るかもしれません。私たちは、そういう命の犠牲の上で、電気を得ているのです。原発で被害を受けた方々と無縁では生きていけないのです。

『施餓鬼法要の現代的意義 ②』 Dr.Mineの仏教法話

Segaki

 では、この「餓鬼」とはいかなるものでしょうか。岩波の仏教辞典によれば、一般に餓鬼とは、供養する者のいない無縁の霊や祀る人のいない霊魂を指す、とあります。

 平安末期から戦国時代にかけての中世においては、飢饉や戦乱によって多くの命が失われました。死者の数が多くなりますと、供養してくれるはずの一族すべてが死に絶えるということも稀ではありません。

そういう時には、生き残った人々が、多数の死者の施主となって、施餓鬼供養を行なってきたのです。宗祖一遍(いっぺん)上人の伝記である『遊行上人縁起絵(ゆぎょうしょうにんえんぎえ)』にも、鎌倉時代当時の施餓鬼供養の模様が描かれています(図参照)。

戦乱が無くなった江戸時代でも、特に江戸の大火で多くの犠牲者を出した時に、大々的に施餓鬼供養を行ったという記録があります。

 このたびの東日本大震災においては、死亡者、行方不明者合わせておよそ三万人にも及びます。しかもかなりの数の方々は身元不明のまま、火葬すら間に合わないために土葬で埋葬されていると新聞で報じられました。そのため地元の僧侶のみならず、僧侶ボランティアも多数、現地に行って供養しています。

考えてみますと、関東以西の方々は幸運にも被災せずに済みましたが、しかしいつ我が身が被災者になるかわかりません。

だから仏教では、自然災害や戦争などで亡くなられた方を、犠牲者とか物故者とはいわず、「代受苦者(だいじゅくしゃ)」と呼びます。本来ならば私が受けたかもしれない苦しみを、代わりに受けてくださった方々という意味です。だからこそ、被害から免れた私たちが心を一つにして、この災害でお亡くなりになられた方々のご冥福を祈り、ご供養する必要があるのです。

『施餓鬼法要の現代的意義 ①』 Dr.Mineの仏教法話

施餓鬼(せがき)法要の現代的意義について

―我が祖国が未曾有の大災害に見舞われたこの時こそ、施餓鬼の意義について考えるー

 平成23年3月11日、東日本大震災により三万人にもおよぶ方々の尊い命が失われました。そのため全国規模で、犠牲になられた方々のご冥福を祈る行事が行われています。そこで今回は施餓鬼(せがき)法要の現代的意義についてお話します。

 そもそも施餓鬼法要とは、悪道に堕ちて、飢餓(きが)に苦しむ餓鬼(がき)に施し、供養する法要をいいます。まずこの施餓鬼法要のいわれについてお話しします。これは『救抜焔口餓鬼陀羅尼経(きゅうばつえんくがきだらにきょう)』というお経に出てきます。

 お釈迦様の十大弟子の中に、お釈迦様の説法を最も多く聴聞され、多聞第一といわれた「阿難(あなん)」という僧侶がいました。この阿難が修行している時、焔口餓鬼(えんくがき)という一人の餓鬼がやってきました。この焔口餓鬼というのは、食べ物を口まで持って行くと、その食べ物がすべて炎を発するために食べることができないという苦しみを抱えた餓鬼です。この焔口餓鬼がこのように言います。

「阿難さん、貴男の命はあと3日ですよ。もし、もっと長寿をお望みならば、私のような餓鬼達の苦難をどうか救ってください。」

これを聞いて阿難は、こう返答します。

「私が短命である事には、別段驚きません。ただ、唯一心残りなのは、お釈迦(しゃか)様の臨終まで、お世話できない事です。」

阿難は、お釈迦様のところにいって相談しました。そこでお釈迦様は、餓鬼の苦しみをお救いするための法要を、多くのお弟子さん方を集めて執り行いました。おかげで阿難は長寿全うできました。これが施餓鬼会のはじまりといわれています。~続く

「たばこ(煙草)の話 ⑤」 Dr.Mineの健康法話

 さて、煙草をやめようとしてもやめられない原因の一つに、ニコチンの禁断症状が上げられます。この禁断症状を軽減する目的で、ニコチンガムやニコチンパッチが利用できるようになりました。特に最近では、医療機関で保険診療によって禁煙治療がうけられるようになりました。

石原軍団の俳優さん方がテレビで宣伝していますので、ご存じの方も多いと思います。ただ治療薬は、ニコチンそのものを煙草以外の経路で摂取しながら減量していくので、時に頭痛、動悸、冷や汗、むかつきといった副作用がでます。ニコチン製剤を利用する場合は、医師の指示に従う方がベストです。

 自分は意志が弱いから煙草がやめられないとおっしゃる方がいます。はっきり申し上げますが、意志の強固な方が、百害あって一利無しの煙草を吸うと思いますが?かく言う私も、30年前は60本以上吸っていましたから、よくわかります。

禁煙を成就した人へのアンケート結果によると、一度では成功せずに、何度か禁煙を試みて、ようやく成就したという人が大多数です。私だって三度目の正直で、禁煙を成就しました。意志が弱いから喫煙者になるのです。一度や二度の禁煙の失敗に怯む事なく、禁煙を成就してください。

ただし健康保険が面倒をみてくれるのは、一回限りであることはお忘れ無く。(終わり)

「たばこ(煙草)の話 ④」 Dr.Mineの健康法話

 妊婦の喫煙量が多いほど、非喫煙者の子供に比べて、知能が低下していることが知られています。その理由は、煙草の煙に含まれている鉛が子供の脳に沈着するためです。

また、乳幼児突然死症候群という病気があります。乳幼児が突然死する、原因不明の怖い病気です。うつぶせ寝がその一つの要因ということで注目を浴びましたが、実はそれ以外にも、妊婦の喫煙、同居者の喫煙で、この乳幼児突然死の頻度が増加することもわかってきました。

煙草はまた、小児喘息を悪化させます。これは周囲の大人達の吸う副流煙を吸い込む事で、気道末梢の慢性炎症を悪化させるためおこります。次世代を背負う子供達の健康にも煙草は悪影響を与えるのです。

 ホタル族という言葉を耳にします。屋内では妻の厳しい目があって喫煙できないため、屋外に出て煙草を吸って
いる人達です。真っ暗な夜の巷で煙草をふかす姿が、あたかも蛍のようなので、このように呼ばれています。室内喫煙よりはましですが、屋外喫煙でも子供達に影響を与えます。

煙草には気体成分と粒子成分がありますが、粒子成分が髪の毛や服に付着し、室内に持ち込まれます。これが室内の埃などとともに吸い込むためです。親が屋外喫煙をしている子供の方が、非喫煙者の子供に比べて、ニコチン血中濃度は8倍高いという報告があります。

レストランなどでは、喫煙席と禁煙席を分けています。いわゆる分煙ですが、これにも問題があります。分煙の方法として、空気清浄機が利用されますが、これは粒子を除去できても、一酸化炭素やガス状になった発癌物質を除去できないばかりか、かえって周囲にまき散らします。その点では、煙を外に出す換気扇の方が効率がよいといわれています。

「たばこ(煙草)の話 ③」 Dr.Mineの健康法話

 脳卒中のうち煙草と関連があるのは、脳梗塞とくも膜下出血です。喫煙者と非喫煙者を比較すると、喫煙者の方が、脳梗塞で2倍、くも膜下出血で3倍高くなります。また喫煙が、高齢者の認知機能を低下させることも知られています。一方禁煙5年で、脳卒中の危険率は非喫煙者と同等になることも知られています。

 この他にも、煙草と大変関連深い病気がいくつかあります。足の動脈が詰まるために、足の趾が腐ってしまうバージャー病です。肺気腫もまた、煙草との関連が強い病気です。この病気は、充分に酸素がとりこめなくなり、二酸化炭素が溜まり、常に息切れや息苦しさとの戦いを強いられます。高齢化社会に伴い、近年増加の一途をたどっています。

そして肺気腫の48%は煙草が原因で死亡しています。

肺気腫は在宅酸素療法が必要となりますが、酸素が流れているところで煙草の火をつけることがどれほど危険か、子供でもわかることです。また肺気腫と診断がついた時点で煙草をやめることができれば、肺気腫は治りませんが、進行がゆっくりになることも知られています。また気管支喘息の38%は煙草が関与しています。

喘息は、気管の慢性炎症が原因ですが、煙草の有害物質が気管に付くので、この慢性炎症を悪化させます。胃潰瘍の39%は煙草が関与していますし、最近ではバセドー氏病にも煙草が関与していることがわかってきました。これほど多くの疾患に煙草は関与しているのです。

 近年、男性の喫煙率が徐々に低下している反面、女性の喫煙率が増加しています。くわえ煙草で車を運転している若い女性をしばしば見かけます。特に妊婦の喫煙が問題となっています。妊婦の喫煙は、不妊、早産、流産、前値胎盤、早期破水、早期胎盤剥離、低体重児、先天異常、知能低下などの原因になります。

これをうけて最近では、欧米のみならず日本でも、煙草のパッケージには、妊婦の喫煙は妊娠継続を困難にすることがある、胎児に悪い影響を与えるという警告が表示されるようになりました。また地方自治体の中でも洲本市では、妊娠届けをだしたすべての妊婦に対して喫煙状況と喫煙の害について調査し、積極的に啓蒙に努めているそうです。

「たばこ(煙草)の話 ②」 Dr.Mineの健康法話

 日本の三大疾病は癌、心筋梗塞、脳卒中ですが、煙草は癌の発生のみならず、心筋梗塞と脳梗塞にも深い関連があります。どちらも動脈硬化が原因でおこる病気です。アテローム性動脈硬化の始まりは、変性コレステロールが血管に沈着することから始まります。それは、ヘドロが下水道に溜まるのに似ています。元々コレステロールは、体内で必要な物質なので、肝臓で作られているし、食事からも摂っています。

ところがこのコレステロールは、ひとたび変性すると、ヘドロのように血管に溜まるので、これに対して生体反応がおこることで、アテローム性動脈硬化が始まります。コレステロールを変性させる要因には色々ありますが、その一つが一酸化炭素です。一酸化炭素がコレステロールにつくと、変性コレステロールとして血管に溜まり、血管の動脈硬化が始まります。

煙草の煙の70%以上は、実は一酸化炭素なのです。一酸化炭素は大変水に解けやすいので、容易に血液の中に溶け込みます。煙草一本吸うと、8時間は呼気中に一酸化炭素を排出し続けますので、一日4本以上の煙草を吸う方は、排出されない一酸化炭素が常に血中をめぐっていることになります。コレステロールを変性させない訳がありません。ちなみに糖尿病もコレステロールを変性させる要因の一つです。

 心筋梗塞と狭心症をあわせて、虚血性心疾患といいます。

この虚血性心疾患の発症確率を喫煙者と非喫煙者で比較すると、喫煙者の方が、男性では3.9倍、女性では2倍高くなります。高血圧を合併していれば、男性で6.2倍、女性で7.8倍まで跳ね上がります。また高脂血症と糖尿病がある60歳以上の喫煙者は、なんと6年間で20%の方がこの虚血性心疾患になります。

しかも、実際に心筋梗塞や狭心症を起こしてカテーテル治療やバイパス手術を受けた患者さんの場合、この時点で煙草を止めないと、高率に再発することが知られています。喫煙者と同居している非喫煙者もまた、虚血性心疾患の発症率が6—9%増加します。一方禁煙5年で、虚血性心疾患の危険率は非喫煙者と同等になることも知られています。

「たばこ(煙草)の話 ①」 Dr.Mineの健康法話 

たばこ(煙草)の話

 煙草を吸っていて、肺癌が心配だから診てくれ、という患者さんがいます。こういう場合、私はいつもこう申し上げてきました。

「肺癌が心配で、青い顔をして病院を受診するぐらいなら、煙草をやめなさい、もしやめられないならば、煙草と心中するつもりで、心配することをやめなさい。そうじゃないと、最も大切な心が病んでしまいますから。」

 私が医者になりたての、昭和57年の頃の話です。当時の私は、煙草は絶対悪だと思っていましたので、強い口調で、しかも少々脅かすようにして、患者さんに禁煙を指導していました。ある時のことです。当時60歳ぐらいの肺癌患者さんが、こうおっしゃいました。

「先生。俺の家は貧しかったから、白いご飯すら、まともに食べられなかった。もちろん煙草など口にした事がなかった。軍隊に引っぱられて、恩賜の煙草をいただいてから、煙草の味を覚えた。」

この話を聞いた時はショックを受けました。天皇陛下より賜った、恩賜の煙草で喫煙の習慣ができた方々に対して、煙草を否定することは、その方々の大切な人生まで否定することになりはしないかと悩みました。あれから25年以上経過した今は、恩賜の煙草とは無関係な世代の方ばかりですので、禁煙指導もずいぶん気が楽になりました。

 煙草が社会問題となっているのは、喫煙者本人の主流煙による健康被害はもちろんですが、煙草を吸う意志のない非喫煙者が、喫煙者の煙草から出る副流煙によって健康を害するということです。極端なことをいえば、喫煙者が喫煙による病気で死ぬのは自業自得ですが、非喫煙者にまで煙草による健康被害が及ぶのが問題なのです。

特に子供は、周囲の大人の喫煙の影響をもろに受けてしまいます。だから世界中で、嫌煙権は認められても喫煙権は認められないのです。

 日本における死因の第一位は、悪性腫瘍(癌もこの中にはいります)です。そして癌死の原因の一位が肺癌です。毎年、5万人以上の人が肺癌で死亡しています。米国癌学会は、男性肺癌の90%、女性肺癌の79%は煙草が原因と報告しています。なぜこれ程、癌をおこしやすいのかといえば、煙草の煙には約50種類の発癌物質が含まれているからです。ニコチンとタールだけが悪者であるという認識は誤っています。

煙草を販売しているJTも、ニコチンとタールが少なければ安全といわんばかりに、低ニコチン、タールの煙草を宣伝しますが、だまされてはいけません。ニコチンは煙草の習慣性の原因にはなりますが、危険な発癌物質は、ニコチンやタールだけではありません。皆さんの知っている物質を上げれば、シアン化合物(青酸カリの親戚)は一本中に200マイクログラム、和歌山カレー事件で話題になったヒ素は一本中に25マイクログラム含まれています。

軽い煙草でも、きつい煙草でも、発癌性に関しては変わりありません。そして煙草の煙は喫煙者のみならず、非喫煙者も副流煙として吸い込むことになりますので、常時喫煙者と行動を共にしていれば、非喫煙者にも癌が発生します。煙草の発癌物質は肺のみならず、唾液とともに飲み込まれ、消化管で吸収され、血中に入ります。よって肺癌のみならず、全身の癌に関連します。

わかっているだけでも、喉頭癌で83%、咽頭癌で65%、口腔癌で58%、食道癌で47%が煙草に関連しています。他に胃癌、膵臓癌、子宮癌も煙草の関与が知られています。これらの癌は、紙巻き煙草だけの問題ではなく、当然ですが、パイプや葉巻でも同様です。 ~続く

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